今年のノーベル医学生理学賞に、米スクリプス研究所のブルース・ボイトラー博士(53)、仏ストラスブール大のジュール・A・ホフマン教授(70)、米ロックフェラー大のラルフ・スタインマン博士(68)の3名が決まったと、メディアが一斉に報道しました。
この方々は、生物がウイルスや病原菌などから身体を守る「免疫」のうち、「自然免疫」と呼ばれる、生物が生まれながらに備える仕組みや、免疫にかかわる「樹状細胞」の役割を解明したと報じられています。
一方、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発した京都大学の山中伸弥教授(京大iPS細胞研究所所長)は、事前の予想で大変に有力と伝えられていましたが、今回の賞の対象にはなりませんでした。
山中教授らの研究成果はこれまでも各種の報道で盛んに伝えられてきました。世界で初めて作製された万能細胞「ips細胞」は、“医療革命”をもたらすとして、世界中の研究者や製薬会社がから多大なる注目を集め、研究や開発が進められています。これは、がんや認知症といった治療が難しい病気の解明や、それらに対する治療薬の開発が進展すると期待されているためと言われています。
さらに、臓器や組織を再生する「再生医療」への応用、また、遺伝子の働きや寿命といった生命の謎を解き明かす研究への可能性にも、大きな期待が寄せられています。
その一方で、「ips細胞」の技術を使うと、同性同士の遺伝子を持つ子どもの誕生や、人間と動物を掛け合わせた「キメラ」も可能になるなど、これまで人類が経験していない社会の到来も見えてくるとのことです。
山中教授らの研究成果、「ips細胞」は、ある意味で人類にとっての「パンドラの箱を開いた」という評価もあります。
(参考 NHKスペシャル “生命”の未来を変えた男 〜山中伸弥・iPS細胞革命〜)
本日の医学・生理学賞を皮切りに、4日には物理学賞、5日に化学賞が発表され、その後も、文学賞や平和賞などが続きます。