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2011-10-05
10月5日

横浜市立大学医学部のホームページを見ましたら、横浜市立大学大学院医学研究科 梅村 敏教授(付属病院長)らの研究グループが、メンバーとして参画している高血圧症などの疾患解明を目指す国際コンソーシアム(ICBP-GWAS)における全世界26万人を対象とした国際共同研究において、高血圧症に関連する遺伝子を解明したというニュースが掲載されていました。この研究成果は、2011年9月に発刊される英国科学雑誌『Nature』に掲載されたとのことです(オンライン版では、アメリカ東海岸時間9 月11 日13 時付:日本時間9 月12 日午前2 時付に掲載)。

研究グループは、梅村教授の他に、愛媛大学・原康玄講師、三木哲郎教授、大阪大学・荻原俊男名誉教授、滋賀医科大学・上島弘嗣名誉教授、東北大学・大久保孝義准教授、国立循環器病センター・岩井直温部長といった方々で構成されています。

高血圧症は生活習慣病のうち最多の疾患とされ、日本でも4000 万人、世界全体では10 億人以上の人が罹患している現状があります。高血圧症は血圧値140/90mmHg と定義されていて、日本の死亡原因の第2,3 位である心疾患や脳卒中などの原因となる、動脈硬化症の最大の危険因子です。
この高血圧症の約90%が原因不明の高血圧症=「本態性高血圧症」で、その原因としては、3〜4 割の遺伝因子と6〜7 割の環境因子が関与している、と考えられている。環境因子は食塩の摂取過多や肥満、運動不足などが挙げられますが、これはある程度の部分、生活習慣の改善でコントロールが可能なものでもあります。一方、遺伝因子が明らかになりますと、いわゆる「テーラーメイド医療」として予防法・治療法の選択を個々人の遺伝子に合わせて行うことができる可能性がこれまでも考えられてきました。

今回の梅村教授らの研究グループが参画している国際コンソーシアムの研究では、0 万人以上の欧米人サンプルと約3 万人の東アジア人、約2.4 万人の南アジア人、約2 万人のアフリカ人のサンプルを用いて、全ゲノムの250 万人SNP(一塩基多型)と血圧との関係が検討されました。これは世界の200 を超える研究機関(約300 人以上の共著者)による、ゲノム研究上最大の研究だとのことです。

この結果、欧米人で28 種、東アジアで9 種、南アジア人で6 種の遺伝子が血圧と関連することが明らかとなりました。これらの遺伝子は水・電解質バランスや腎機能に関連するものなどであり、このうちいくつかは本研究で初めて高血圧との関連が見出された遺伝子だそうです。一連の研究結果は、本態性高血圧の病因を解明すること、新たな治療ターゲットを導き出すこと、個別化医療や予防の可能性を大きく広げる成果として、今後の発展にも期待が寄せられています。
 



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